一般社団法人 大分学研究会

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第2回 おおいた遺産モニターツアーが開催されました

第2回 おおいた遺産モニターツアーが開催されました

平成29年8月27日(日)に第2回のおおいた遺産モニターツアーが開催されました。

 

今回は文殊仙寺の副住職で〈宇佐国東半島を巡る会事務局長〉をされています秋吉文暢氏に現地講師をしていただき、

六郷満山開山1300年となる宇佐市・豊後高田市・国東市の神社仏閣を巡りました。

最初は宇佐市の「宇佐神宮」へ。

いわずとしれた全国八幡宮の総本宮となる「宇佐神宮」。

ここは神仏習合発祥の地と言われており、

他にも「放生会」や「神輿」の発祥地を言われております。

放生会・・・元々は仏教の殺生を戒める儀式であり、宇佐八幡宮では蜷が放されるそうです。

神輿・・・東大寺建立という一大事に御神体が駆けつけるために用いたのは神輿の発祥と言われているそうです。

 

昔はこの鳥居を入って右側に「弥勒寺」というお寺があったそうで、

同敷地内に社寺が共存していた点も神仏習合が深く根付いていたことをうかがわせます。

現在は宝物館などの建物が建っております。

こちら写真向かって右側奥に弥勒寺の伽藍の礎石が残っております。

現存する礎石が奈良の薬師寺と同じ配置であり、伽藍自体が残っていれば貴重な歴史資料になったと考えられてます。

弥勒寺跡地の反対から上宮本殿へ。

建造物には上の写真のような装飾が施されているのですが、

こちらの装飾、左右の穴になっている箇所がハートのように見えるということで、最近では恋愛成就のお願いをされる人もおられるようですが、本来は「猪の目(いのめ)」といい、猪が山火事を最も早く見つけることから、火事対策の願掛けとなる装飾のようです。

宇佐神宮の本殿ですが、写真で写しているのは楼門部であり、本来はその間から、本殿の神様へお参りをいたします。

向かって左から一之御殿、二之御殿、三之御殿となります。

また、本殿前には下記写真のように、奥の院があります御許山が見える窓もあります。

奥の院があるところは聖地として人の出入りが禁じられている山の中になりますので、こちらでお参りを。

宇佐神宮も広範囲であるが故、世界遺産に指定されている日光東照宮のように、

毎年どこかが修理中となっているそうです。

帰りは登ってきた道とは別の道を降り、こちらの下宮へ。

こちらの下宮に寄らないことを、宇佐地方では

「下宮参らにゃ、片参り」と言われているそうです。

 

宇佐神宮を出て、お次は昼食。

今回は豊後高田市の昭和の町の中にあります「平清水旅館」さんにてお蕎麦をいただきました。

こちらは併設されているお蕎麦屋の「翔」が豊後高田そばの認定店になっております。

豊後高田そばの認定店ですが、厳しい決まりがあり、その中に「そばの三たてを守ること」という定義があります。

三たてとは「挽きたて・打ちたて・茹でたて」のこと。

そのため、お蕎麦は注文を受けてから作り始めるとのこと。

おいしいお蕎麦をいただいた後は、出発まで豊後高田市の昭和の街をぶらり。

 

午後のはじめは「富貴寺」へ。

日本三大阿弥陀堂として知られる富貴寺は

大堂が国宝、

大堂内壁に描かれている壁画と本尊の阿弥陀如来坐像が国指定重要文化財、

境内が国指定史跡

の指定を受けております。

特に大堂は現存する平安建築としてとても貴重なものであります。

富貴寺のパンフレットには四季折々の富貴寺の写真が載っているのですが、何ともカッコいい仕上がりになっております。

今回は「夏」の富貴寺の写真です。

富貴寺境内は入口から中まで、笠塔婆や板碑など数多くの石造美術が並んでおり、そのいくつかが県の有形文化財に指定されております。また、こちらの本堂には阿弥陀三尊像が安置されており、大堂の本尊同様に平安時代の作と考えられ、県の有形文化財の指定を受けております。

富貴寺の次は国東市に入り、「両子寺」へ。

国東半島の中心にある両子山。その中腹にあるのが両子寺で、

江戸時代以降六郷満山の総持院として全山の統括をされるお寺とのこと。

こちらの護摩堂にて、住職から両子寺の歴史などについてお話をうかがいました。

両子寺の奥の院本殿には千手菩薩と両子大権現(男女二天童子)という神仏がともに祀られており、

六郷満山の総持院である両子寺でも神仏習合の流れを強く感じることができます。

こちらの両子寺は特に子授けの祈願が有名であり、「申子子授け祈願袋」という特徴的な祈願方法があるそうです。

申子子授け祈願袋・・・祈願者は子供を産んだ32人の女性からハギレをもらい、自分の1切れを合わせた33切れで袋を縫い、その中に米一升三合三勺を入れ、12束の線香と12本のローソク、御酒一升とともにお供えし、祈願を受けるそうです。

なお、祈願日は午の日に必ず夫婦同伴とのこと。また、願いがかなった夫婦は毎年一度は子供とともに参拝をしなければならないとのこと。

 

 

護摩堂内でのお話の後に、隣接する書院・客殿にて一休み。

当日は晴天でかなり暑かったため、皆さん汗が止まりません。

そんな中、梅ジュースとスイカと漬物をごちそうになりました。

一休みして体力を回復し、いよいよ最後の「文殊仙寺」へ。

 

「文殊仙寺」は現在、秘仏特別御開帳がおこなわれております。

本来の御開帳は卯年の大祭の時にしか行われないため、12年に一度なのですが、

今年は六郷満山開山1300年の100年一会の年として、6年ぶりの特別御開帳がおこなわれております。

なお、卯年の理由としましては、文殊仙寺の本尊である文殊菩薩が卯年の守護仏だからとのことです。

文殊仙寺に行かれたことがある方は300段の石段を思い出されることでしょうが、ご安心ください。

現在は本堂近くまで車で行ける道が作られております。

本堂までの残り80段は自力で登っていきます。

こちらの本堂内にて、今回護摩焚き供養をしていただきました。

参加者一人一人の名前と願いを書いた木を焚いて祈願をしていただき、

その後、本堂奥に安置されております、秘仏である本尊をお参りいたしました。

こちらの本尊は青銅製の文殊菩薩像で、1200~1300年前に中国で作られた渡来仏とのことです。

秘仏の決まり事として、『写してはならない・写したものを公開してはならない』という決まりがあります。

そのため、撮影や模写が一切禁じられております。

また、過去に何度も文化財指定のお話も受けているそうですが、

指定を受けることで、1300年続く祈りの形が変わってしまう恐れがあるため、

指定の話はお断りしているそうです。

 

さて、こちらの本堂、本尊とともに鏡や御幣も祀られており、こちらも神仏習合の流れを強く感じることができます。

また、本尊と鏡は参拝者と目線が一致する高さに備えられております。

これは写し鏡を表しており、「すべての衆生に仏性がある」ということを意味しているそうです。

仏性とは生まれながらに仏になれる性質を持っているということで、

全ての人が仏になれる性質をもっているというのが仏教の教えであり、

それを鏡や御幣、本尊の配置で表しているそうです。

今回のモニターツアーでは開山1300年にあたる六郷満山の神社仏閣を見学いたしました。

写真を見てお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、

今回のブログでは各寺社の中心となるもの(本尊や本殿内部など)の写真は載っておりません。

ツアーでは各神社仏閣の本尊や本殿をお参りしているのですが、

基本的には撮影が禁止となっております。

ですので、是非ご興味のある方は自分の足で国東半島の神様や仏様たちに会いに行き、

ご祈願をしてみてください。

余談ですが、国東半島には69,338体の仏像があるそうです。

 

さて、次回のモニターツアーは10月開催の予定になっております。

詳細が決まり次第、こちらのブログやホームページからもご紹介いたします。

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